職場でマルチ商法の勧誘|人事が最初にやること

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  1. 結論:連鎖販売取引そのものは違法ではありません。問題になるのは勧誘のやり方です
  2. 相談が来た日に、まず押さえること
  3. 最初に、正直にお伝えしたいこと
    1. 公務員として16年、組織の中にいました
    2. 中学2校で548名に、詐欺の手口を教えてきました
  4. 法律はどこを規制しているのか
    1. 嘘をつく、事実を隠す(特定商取引法第34条)
    2. 威迫して困らせる(同条第3項)
    3. 「確実に利益が出る」は、第34条ではありません
    4. 罰則は、軽いものではありません
  5. 20日を過ぎていても、終わりではありません
    1. クーリング・オフは20日(第40条)
    2. 20日を過ぎた後にできること(第40条の2)
  6. 職場で起きると、なぜ厄介なのか
  7. 会社ができること・できないこと
    1. 副業・兼業の規程から見るとどうなるか
    2. ハラスメントの枠組みから見るとどうなるか
    3. 懲戒の話を、ここで断定しない理由
  8. そのまま使える:社内通知文のひな形と確認リスト
  9. 予防:研修で何を伝えるか
  10. よくある質問
    1. Q1. 社員が同僚を勧誘しているという噂があります。会社として調査してよいのでしょうか
    2. Q2. 勤務時間外・社外での勧誘なら、会社は何も言えないのでしょうか
    3. Q3. 勧誘された社員が「大事にしたくない」と言っています。どう対応すればよいでしょうか
  11. 出典
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  13. 今日の育児日記(その236)

結論:連鎖販売取引そのものは違法ではありません。問題になるのは勧誘のやり方です

社員から「職場でマルチ商法の勧誘を受けました」と相談が来たとき、最初に置いておきたい整理があります。いわゆるマルチ商法は、法律上は連鎖販売取引と呼ばれ、特定商取引法で規制された取引形態です。規制されているということは、裏を返せば、その形態そのものを違法と定めた条文はない、ということです。

違法になるのは、特定の勧誘行為のほうです。嘘をつく。事実を隠す。威迫して困らせる。「マルチだからアウト」ではなく「その勧誘の仕方はどうだったのか」で見る。この順番を持っているかどうかで、そのあとの対応は変わります。

相談が来た日に、まず押さえること

制度の話より先に確認したいのは日付を2つです。契約日ではなく、書面を受け取った日と、商品を最初に受け取った日。この2つで、あとに述べるクーリング・オフの残り日数が決まります。社員の記憶ではなく、書面や配送の記録で確認してください。

もう1つは、いつ、どこで勧誘されたかです。勤務時間中か、社内か。会社として何がいえるかは、ここで変わります。事実の記録を先に、評価は後にしてください。

最初に、正直にお伝えしたいこと

私は現役の公立中学校教員で、ファイナンシャルプランナーとしても活動しています。現在は育児休業中で、所属機関の承認を得て、学校・PTA・企業で金融教育と詐欺防止の講演を行っています。ただし、人事・労務の実務経験はありません。制度の部分は、法令の条文と厚生労働省・法務省の公開資料を一つずつ確認して書いています。そのうえで、私だからこそ書ける視点が2つあります。

公務員として16年、組織の中にいました

16年いて分かったのは、相談が上がってこないのには理由がある、ということです。言えば波風が立ち、言った側が「面倒な人」になる。だから、みんなが薄々気づいていることほど記録には残りません。人事に届いた1件の後ろに、届いていない何件かがある。その前提で受けるかどうかで、初動が変わります。

中学2校で548名に、詐欺の手口を教えてきました

全校講演の受講者548名のうち、回答した456名から「分かりやすい」97%、「役に立つ」99%、「行動を変える」93%という評価をいただきました。授業で手口を扱うたびに感じるのは、人が引っかかる瞬間は、話の中身ではなく関係のほうで決まる、ということです。

私が講演で使う言い方があります。最初は普通の人っぽい。怪しい人が怪しく近づいてくるなら、誰も引っかかりません。信頼している人が、いつもの口調で、悪気なく誘ってくるから断れないのです。職場は、その条件がそろいやすい場所です。

法律はどこを規制しているのか

嘘をつく、事実を隠す(特定商取引法第34条)

第34条は、統括者や勧誘者が、勧誘をする際、または契約の解除を妨げるために、一定の事項について故意に事実を告げないこと、事実と違うことを告げることを禁じています。

知っておいていただきたいのは、この「一定の事項」に、契約の解除に関する事項が明記されている点です。条文には、後で触れる第40条第1項から第3項まで、第40条の2第1項から第5項までに関する事項が含まれると書かれています。つまり「もう解約はできない」と言って引き止める行為は、この条文の中心にあります。社員が「解約できないと言われた」と話しているなら、それはとても重い情報です。誰が、いつ、どう言ったかを書き留めてください。

威迫して困らせる(同条第3項)

同条第3項は、契約を締結させるため、または契約の解除を妨げるために、人を威迫して困惑させることを禁じています。声を荒らげる場面だけではありません。断ろうとするたびに人を増やして囲む、深夜まで連絡を続ける、といった形もあります。職場の関係が背景にあると、本人は「怒鳴られていないから大丈夫」と受け止めがちです。

「確実に利益が出る」は、第34条ではありません

多くの解説がひとまとめにしてしまうところです。利益を生ずることが確実であると誤解させるような断定的判断を提供して契約を締結させる行為は、第34条ではなく、第38条第1項第2号に置かれています。第38条は主務大臣の指示の対象となる行為を定めた条文です。禁止行為の条文と、指示の対象行為の条文は別だ、と押さえておけば十分です。

罰則は、軽いものではありません

第34条に違反した場合、第70条により、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象となります。併科もあります。第74条は両罰規定で、法人には、第70条第3号に係るもので3億円以下、第70条第1号・第2号に係るもので1億円以下の罰金が定められています。なお拘禁刑は、懲役と禁錮を廃止して創設された刑で、2025年6月1日に施行されています。

20日を過ぎていても、終わりではありません

クーリング・オフは20日(第40条)

連鎖販売取引のクーリング・オフの期間は20日で、第37条第2項の書面を受領した日から起算します。ここに続きがあります。再販売する商品の最初の引渡しが、書面を受け取った日より後になるときは、その引渡日から起算します。在庫を後から受け取っているケースでは、本人が思っているより日数が残っていることがあります。日付を2つ押さえてくださいと書いたのは、このためです。

20日を過ぎた後にできること(第40条の2)

20日を経過した後も、将来に向かって契約を解除することができます(第1項)。解除の前に商品を購入していた場合、契約日から1年を経過していない加入者は、商品販売契約も解除できます(第2項)。ただし、引渡しを受けた日から90日を経過している、すでに再販売した、使用または消費した、といった場合は除かれます。

商品が返還された場合に事業者が請求できる額は、販売価格の10分の1が上限です(第4項)。これらに反する、加入者に不利な特約は無効です(第6項)。契約書に厳しい文言が並んでいても、そこで話が終わるわけではありません。

どの条文がどう当てはまるかは、事実関係によって変わります。個別の事案についての最終的な判断は、弁護士・社会保険労務士にご相談ください。社員本人には、消費者ホットライン188(局番なし)をご案内ください。つきまとわれている、脅されているといった事情があるときは、警察相談専用電話#9110もあります。

職場で起きると、なぜ厄介なのか

街で声をかけられたなら、断って歩き出せば終わります。職場は違います。断った相手と、明日も同じ部屋にいます。評価をする人かもしれません。この非対称が判断を鈍らせ、本人は「自分が我慢すればおさまる」と考えます。人事に届くのは、たいていお金が動いたあとです。

しかも職場での勧誘は、勧誘の顔をしてやってきません。ランチの相談、キャリアの相談、副業の話。断る場面が来たときには、もう何度も好意を受け取ったあとです。本人を責める言い方は避けてください。「なぜ断らなかったのか」は、いちばん効かない質問です。

会社ができること・できないこと

副業・兼業の規程から見るとどうなるか

厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)には、第14章として副業・兼業が置かれ、第70条が規定されています。第1項は「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」と定めています。出発点は、できる、です。第2項は、労働者からの届出に基づき、次のいずれかに該当する場合には、禁止または制限することができるとしています。

  • 労務提供上の支障がある場合
  • 企業秘密が漏洩する場合
  • 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
  • 競業により、企業の利益を害する場合

ここからが、人事向けの記事ではあまり書かれていない論点です。同規則の解説では、副業・兼業には、他の会社等に雇用される形のものだけでなく、事業主として行うもの、請負・委託・準委任契約により行うものも含まれるとされています。連鎖販売取引への参加は、雇用されない形の活動です。したがって、副業・兼業の規程の射程に入り得る、と整理されることがあります。

ただし同じ解説は、副業・兼業に係る相談や自己申告等を行ったことを理由として、不利益な取扱いをすることはできない、ともしています。「届け出たら不利になる」と受け取られた瞬間に、情報は上がってこなくなります。ここは表裏一体です。

ハラスメントの枠組みから見るとどうなるか

上司から部下へ、先輩から後輩へという勧誘は、断りにくさが業務上の関係から生まれている点で、ハラスメントの枠組みと重なる部分があります。職場のパワーハラスメントについて事業主が講ずべき雇用管理上の措置は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律に定められています。現在は第30条の2ですが、2026年10月1日からは第31条になります。改正法は令和7年法律第63号です。条番号が変わるだけで、措置義務がなくなるわけではありません。社内規程や研修資料に条番号を書いている会社は、差し替えの予定に入れておくとよいと思います。

同じ2026年10月1日から、第33条として、いわゆるカスタマーハラスメント対策が新設され、事業主の義務になります。相談体制をこれから見直すなら、社内の勧誘トラブルの受け皿も同じ機会に設計するのが現実的です。窓口を増やしても、社員は使い分けてくれません。

懲戒の話を、ここで断定しない理由

勤務時間中だったのか。会社の施設を使ったのか。職務上の立場が影響していたのか。同じ「職場での勧誘」でも、事実が違えば結論は一つになりません。ですからこの記事では、懲戒や解雇、損害賠償ができる・できないという書き方はしません。断定を読んで動いた結果、会社側が争いを抱えるほうが損だからです。まず事実を確定させ、自社の就業規則のどの条項に関係し得るかを確認したうえで、処分の可否と重さについては、最終的な判断を弁護士・社会保険労務士にご相談ください。

そのまま使える:社内通知文のひな形と確認リスト

特定の社員を想起させない形で、全員に向けて出すための文案です。社名や窓口名を入れ替えてお使いください。

件名:職場における勧誘行為の取扱いについて(お願い)

社員のみなさまへ

1. 勤務時間中および会社の施設内での、業務に関係のない勧誘はお控えください。役職や担当業務上の関係を背景とする働きかけは、相手が断りにくい状況を生みます。

2. 勤務時間外の活動については、届出の対象となる場合があります。就業規則の副業・兼業に関する規定をご確認のうえ、該当する場合は事前にご相談ください。届け出たことを理由に、不利益な取扱いをすることはありません。

3. 勧誘を受けて困っている方、すでに契約をしてしまった方は、下記の窓口までご連絡ください。相談したことを理由に、不利益な取扱いをすることはありません。

4. 契約には期間の制限がある手続もあります。迷っている段階でも早めにご相談ください。社外の窓口として、消費者ホットライン188(局番なし)もご利用いただけます。

相談窓口:◯◯部 ◯◯(内線◯◯◯/メール◯◯)

相談を受けたときは、上から順に、事実だけを埋めてください。

  • 書面を受け取った日と、商品を最初に受け取った日
  • 契約日、支払った金額、支払いの方法(借入をしていないか)
  • 誰から誘われたか(社内の関係、役職の上下)
  • いつ、どこで勧誘されたか(勤務時間中か、社内か)
  • 解約について、何と言われたか
  • 断ったあとに、繰り返し連絡や働きかけがあったか
  • 本人がいま望んでいること(解約したい、距離を置きたい、知られたくない)

最後の項目を飛ばさないでください。本人の希望を確認せずに動くと、二度目の相談が来なくなります。

予防:研修で何を伝えるか

ここで私の立場をはっきりさせておきます。金融機関が提供する無料の研修は、多くの場合そのあとに商品の案内があります。私は売る商品を持っていません。特定の金融商品・金融機関を紹介することは一切ありません。

そのうえで、社内で伝えるなら3点に絞ることをおすすめします。1つ目は、形態ではなくやり方で見分けること。解約をさせない、確実に利益が出ると言い切る、断っても続く。この3つが出たら相談、と決めるほうが実用的です。2つ目は、期間の制限がある手続があること。20日という数字と、書面を受け取った日・商品を最初に受け取った日から数える、という2点で足ります。3つ目は、断り方を言葉として配ること。その場で出てくる言葉を持っているかどうかが、分かれ目になります。

よくある質問

Q1. 社員が同僚を勧誘しているという噂があります。会社として調査してよいのでしょうか

噂の段階で個人を特定した調査に入ると、事実と違ったときに会社側が責任を負う立場になります。まずは特定の個人を対象としない形で、全員向けの周知と相談窓口の案内を出すのが現実的です。具体的な相談が上がってきたら、本人の希望を確認しながら事実確認に進みます。調査の範囲や方法は、弁護士・社会保険労務士にご相談ください。

Q2. 勤務時間外・社外での勧誘なら、会社は何も言えないのでしょうか

勤務時間外の活動は、できることが出発点です。ただしモデル就業規則第70条第2項は、労務提供上の支障がある場合、企業秘密が漏洩する場合、会社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、競業により企業の利益を害する場合には、届出に基づいて禁止または制限することができるとしています。自社の規程を先に確認したうえで、個別の判断になります。

Q3. 勧誘された社員が「大事にしたくない」と言っています。どう対応すればよいでしょうか

本人の希望は尊重されるべきですが、期間の制限がある手続があることだけは伝えてください。会社が動かない選択をする場合でも、消費者ホットライン188(局番なし)を案内し、日付の記録だけは残しておくようお願いすることはできます。相談したことを理由に不利益な取扱いをしない、という点も、あわせて伝えてください。

出典

※本記事の情報は2026年9月時点のものです。制度や統計は変更される場合がありますので、最新の情報は各公式サイトをご確認ください。

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【 男性教職員 が 夫婦同時3年育休 236】

〜忘れちゃった💫〜

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支えが必要だってことを知ってか知らずか全身で全力ダンス😅

そして突然止まって安全点検笑

次の世代の選択肢をできる限り増やしたい。
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