【講義実践レポート】文教大学 教職課程「特別活動」|教員を目指す学生への金融教育 2026年11月4日

🎓 講義実践レポート | 大学・教職課程

教わってこなかった人が、
教える側に回るとき。

2026年11月4日、文教大学の教職をめざす学生たちが学ぶ「特別活動」の授業で、講師の佐々木孝夫先生に招かれ、金融教育の大切さについて講義しました。9月の事前アンケートから、このクラスのためだけに組み立てた75分です。

📅 2026年11月4日(水) 🎓 文教大学「特別活動」 👥 履修66名 ⏱ 75分・班活動2回
大人の手から子どもの手へ、オレンジ色のバトンが渡される絵(当日のスライドより)
37→15
お金の話をする自信が
「ない」(50名中→52名中)
15→1
手取りを
「イメージできない」
3/50
学校でお金を
「しっかり学んだ」(講義前)
52枚
講義直後の再質問
(無記名)
Overview

開催概要

大学・教職課程での講義のご依頼を検討される方の参考になれば幸いです。

開催日時2026年11月4日(水)2限(75分)
会場文教大学 越谷キャンパス(埼玉県越谷市)
対象・人数教職課程の授業「特別活動」第7回/履修 66名(9月の事前アンケート 有効回答50名)
講義テーマ手取り(税・社会保険)奨学金の金利72の法則リボ払い4%ルール月利をうたう誘いマルチ商法と18歳闇バイト相談先教え方の型
講義形式専用スライド40枚+ワークシート(A4両面)+班活動2回(①なぜ教わってこなかったのか ②小ネタを中学生に30秒で)
3つの約束金融商品を売らない/商品名・会社名を出さない/学生の家計や奨学金のことは聞かない
担当講師吉田 悠(現職教員・ファイナンシャルプランナー/金融教育・情報モラル講師)
※本活動は所属機関の承認のもと、公務に支障のない範囲で行っています。
授業担当佐々木孝夫 先生(文教大学 講師)
Why

子どもにお金を教えるのは、教室の先生。

9月、このクラスで事前アンケートをとりました(無記名・有効回答50名)。教員を目指す学生のみなさんの答えです。

3/ 50名
学校でお金を学ぶ機会が
「しっかりあった」
37/ 50名
子どもにお金の話をする自信が
「あまりない」「まったくない」
15/ 50名
働き始めたときの手取りを
「イメージできない」
自信がないのは、当然です。教わってこなかったのですから。「何を知らないか」ではなく「何を知らされてこなかったか」から始める ── 未然防止の金融教育
Program

講義内容と流れ

75分を、自分のお金 → 身を守る → 教える側へ、の順に組みました。

00:00 〜 05:00
導入:このクラスの数字から
「今日の私は、先週の授業で学んだ”招かれた側”です」。最初に3つの約束をして、事前アンケートの数字を「50名中◯名」で示しました。
05:00 〜 13:00
班①:なぜ、教わってこなかったのか
責める問いではなく、「何を知らされてこなかったか」を班で話し合いました。
13:00 〜 31:00
自分のお金:額面 → 手取り → 生活費 → 貯金
新任教員のAさんの1か月で、額面がそのまま入らないこと、2年目の6月に手取りが減ること(住民税)を確かめ、ワークシートに1か月の暮らしを書き込みました。小ネタ=奨学金の金利・72の法則・リボ払い・4%ルール。
31:00 〜 41:00
被害者にも、加害者にもならない
「月利3%を保証します」と言われたら/マルチ商法は、誘われれば被害者、誘えば勧誘する側に/18歳から大人/闇バイト。最後に相談先(188・#9110)。
41:00 〜 50:00
教える側に回るとき
中学校の教室で大事にしている3つを伝え、この講義そのものの作り方を種明かししました。
50:00 〜 70:00
班②:小ネタを中学生に30秒で
17の班がそれぞれ1つの小ネタを担当。準備7分のあと、30秒で発表し、講評しました。
70:00 〜 75:00
まとめと再質問
「自分が分かっていないことは、子どもには教えられない。だから、今日分かった1つから。」最後に、事前アンケートと同じ2問を、一字一句同じ文でたずねました。
教室のドアの前に立つ先生のうしろ姿の絵(当日のスライドより)
当日のスライドより(「招かれた側」)
Before / After

75分のあと、答えはこう変わった

講義の最後に、ワークシートの帯で、事前アンケートと同じ2問をもう一度たずねました(無記名・回収52枚)。

子どもたちにお金の話をする自信が「ある」「少しある」
講義の前50名中 13名→講義の後52名中 37名
講義の前(9月・50名中)講義の後(11月4日・52名中)

教える自信

教員になったとき、子どもたちにお金の話をする自信はありますか

ある
3名
4名
少しある
10名
33名
あまりない
29名
14名
まったくない
8名
1名

手取りのイメージ

働き始めたときの手取り額が、だいたいいくらになるかイメージできますか

できる
7名
20名
なんとなく
28名
31名
できない
15名
1名

※どちらも無記名のため、同じ人の変化ではなく、クラス全体の答えの分布を比べたものです。講義の後は、講義の直後の答えです。
※人数が少ないため、割合(%)ではなく「◯名中◯名」で示しています。

Voices

感想用紙56枚から

講義の最後に書いてもらった感想用紙を、1枚ずつ読みました。いちばん多かったのは、この3つです。

14/ 56枚
お金の授業は初めて
ほとんど教わってこなかった
14/ 56枚
伝えることを1つに絞れば
自分にも教えられる
11/ 56枚
分かっていないことは教えられない
まず自分が学ぶ
教わってこなかった

今まで(小中高)と12年間で、お金についての話をしっかりとされた記憶がなかったので、とても有意義な時間だった。

── 教員を目指す大学生
教わってこなかった

将来の収入や支出、投資についてなど、知らなかったというよりも、知ろうとしていなかった、考えないようにしていたと気づいた。

── 教員を目指す大学生
教わってこなかった

もっと早くに知りたかった、義務教育で教えてほしかったと感じた。

── 教員を目指す大学生
1つに絞る

金融教育があまり積極的に行われてこなかった私たちが生徒に教えるためには、1つを極めることが大切だと思った。

── 教員を目指す大学生
伝え方

お金に関することをマイナスイメージだけで伝えるのではなく、注意したり使い方を考えたりする方向で伝えていきたい。

── 教員を目指す大学生
相談

もし問題を抱えた時は、一人で悩まず誰かに相談したい。また、その相談役に自分がなれるためにも、お金の話は理解しておきたい。

── 教員を目指す大学生

※感想用紙より一部抜粋(読みやすく、表記を一部整えています)。氏名・学年など、個人が分かることは載せていません。
※枚数は、講師が感想用紙を読んでテーマごとに数えたものです(1人が複数のテーマに入ります)。

Method

教える側に渡した3つ

中学校の教室で、お金の話をどう届けているか。そのやり方を、そのまま学生のみなさんに渡しました。この日の75分も、この3つでできています。

1

責めない

「何を知らないか」ではなく、「何を知らされてこなかったか」から話す。

2

1つだけ持ち帰らせる

1時間で伝えるのは1つ。30秒で言えるところまで絞る。

3

相談先を渡す

最後に必ず188と#9110。「ひとりで決めない」で終わる。

班②の「30秒の型」
① 最初のひとこと=中学生が「えっ」と思う入り方
② 中身=伝えるのは1つだけ
③ 言い過ぎない一文=「絶対」「必ず」を使わない
72の法則・リボ払い・4%ルール・マルチ商法と18歳・奨学金の金利の5つを、17の班に割り振りました。
ストップウォッチと、班ごとに話し合う学生たちの絵(当日のスライドより)
当日のスライドより(班②「中学生に30秒で」)
One class, one design

このクラスのためだけに、一から。

一校一設計。同じスライドは使い回しません。この講義のために用意したものです。

STEP 1|9月

事前アンケート

授業担当の先生に配布・回収していただき、50名分を集計。

STEP 2

専用スライド40枚

このクラスの数字から始まる構成。

STEP 3

ワークシート

A4両面。最後の帯で、講義の前と同じ2問をたずねる。

STEP 4

班の割り振り表

いつもの17班に、5つの小ネタを割り振り。

STEP 5|当日

前後の集計

回収した52枚を当日中に集計し、第8回用の資料として先生へ。

From the Lecturer
私も、学校でお金のことを全く教わらないまま、教員になりました。
自分が分かっていないことは、子どもには教えられない。
だから、今日分かった1つから。

お金が原因で、子どもが夢を諦めることがないように。教室でそれを伝えるのは、いつか先生になるみなさんです。

吉田 悠 | 未然防止の金融教育
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